一日の終わり、
家の中が静かになる時間がある。
テレビの音が消え、
食器の音も落ち着き、
外の車の音も少なくなっていく。
少しずつ、夜の空気に包まれていく。
この時間が、私は好きだ。
昼間の静けさとは違い、
夜の静けさには一日の余韻が含まれている。
今日も無事に終わったという安心。
やることを終えたという静かな達成感。
何か特別なことがあったわけではなくても、
一日を過ごし終えたことに、ほっとする。
ソファに座り、
温かい飲み物を手に持つ。
遠くで時計の音が聞こえ、
部屋の空気がゆっくり流れていく。
ハルはお気に入りの場所で丸くなり、
小さな寝息を立てている。
その音を聞いていると、
心の奥まで静かになっていくような気がする。
若いころは、
何か特別なことがない一日を
少し物足りなく感じていた気がする。
でも今は違う。
大きな出来事がなくても、
穏やかに一日が終わること。
それだけで十分だと思えるようになった。
外で過ごす時間があるから、
家に戻ったときの安心がより大きく感じられる。
明るすぎない灯り、
慣れた匂い、
いつもの空気。
「戻ってきた」
そんな感覚が、静かに心を緩めてくれる。
夜の静かな時間は、
何もしない時間ではない。
心を整え、
呼吸を整え、
また明日へ向かう力を取り戻す時間。
焦らず、ゆっくりと。
静かな夜が、そっと背中を支えてくれる。
一日の終わり、
家の中が静かになる時間。
特別なことは何もないけれど、
その静けさの中に安心がある。
今日も一日が終わり、
いつもの場所で夜を迎えられること。
それだけで、
十分満たされているのだと思う。

