夕方になると、急に電池が切れたように
動けなくなる日がある。
仕事中は普通に動いていたはずなのに、
帰るころになると、
体の奥のスイッチが静かにオフになる感じ。
「はぁ…」と小さく息が出て、
肩が少し重くなる。
若いころは、仕事が終わってからが
本番のように元気だった。
買い物に行って、友人と会って、
家に帰ってからも色々できていた気がする。
でも今は違う。
帰宅してからの時間、
ただ静かに座っているだけで精一杯な日がある。
最初は、
「体力が落ちたのかな」と思っていた。
年齢のせいだから仕方ない、
そう自分に言い聞かせるような気持ちもあった。
でもよく考えると、
一日をちゃんと働き終えているのだ。
集中して、気を配って、
周りと調整しながら仕事をして…
疲れないわけがない。
若いころは、体力より回復力が
上回っていたのかもしれない。
今は、回復より先に疲れを感じる。
それだけの違いなのだと思うようになった。
これは怠けているのではなく、
ちゃんとエネルギーを使っている証拠。
そう思えるようになってから、
少し自分に優しくなれた。
帰宅途中の車の中。
信号待ちでぼんやり前を見ながら、
今日も無事終わったなぁと小さな安心を感じる。
そして次に浮かぶのは…
ハル、待ってるだろうな。
その瞬間、
少しだけ気持ちが軽くなる。
玄関を開けると、
小さな足音が近づいてくる。
全力のお迎え。
その姿を見ると、
さっきまでの重さが少しだけ軽くなる。
完全に元気になるわけではない。
でも、「もうひと頑張りできそう」
そんな気持ちになる。
若いころのように一瞬で回復しなくても、
静かに座る時間
温かいお茶
ハルの寝息
家の静かな空気
そういうものが、
少しずつ電池を回復させてくれる。
夕方に電池が切れるのは、
怠けているからではない。
今日一日、ちゃんと生きて、
ちゃんと働いて、ちゃんと頑張った証拠。
そう思えるようになってから、
「疲れた自分」を責めなくなった。
今日も静かに電池が切れて、
ゆっくり充電して、
また明日を迎える。
それが今の私だ。

