
ぼくは眠る場所を選ぶのが上手です。
ソファのひじ掛け、
ラグの上、
日が当たる場所。
今日はここがいいな、と思ったら、
ゆっくり丸くなります。
目を閉じて、
体の力を抜いて、
だんだん眠くなってきます。
そのときです。
「ハル?」
声が聞こえます。
ぼくは、まだ眠っていません。
でも、もう眠る予定でした。
少しだけ目を開けます。
ママがいます。
にこにこしています。
「かわいいねぇ」
そう言って頭をなでます。
かわいいのは知っています。
でも今は、眠るところでした。
やっと静かになったと思ったら、
今度は兄ちゃんです。
「寝るの?」
やさしい声ですが、
質問の意味は分かりません。
ぼくは寝ようとしていました。
ぼくは思います。
人間は、なぜ
眠る直前に話しかけてくるのでしょう。
元気に遊んでいるときは
静かに見ているのに、
眠ろうとすると
急に集まってきます。
不思議です。
でも、頭をなでられると、
悪い気はしません。
だからぼくは、少しだけ目を細めます。
そしてもう一度、丸くなります。
今度こそ眠ろうと思いながら、
また声が聞こえないことを願っています。
人間は、ぼくが眠る瞬間が
いちばんかわいく見えるみたいです。
それなら少しだけ、
目を閉じるのをゆっくりにしてあげてもいいかな、
と思っています。

